13.プロモーション、ブランドの力、社会的影響

はじめに
私は、トランスメディアにおけるプロモーション・ブランドの力・社会的影響力について見ていきます。
プロモーションと言えば、近代マーケティングの1つであると言えます。トランスメディアの中でのマーケティングがどのように機能しているのか見ていきたいと思います。

ー目次ー
◆渋谷におけるプロモーション
◆映画におけるプロモーション活動
◆お金をかけずにみんなにPR?(パブリシティ)
◆日本と世界の有名作品の比較
◆ムーミンから見たトランスメディアマーケティング
◆ブランドの確立
◆ブランド×アニメ
◆新たなトランスメディアマーケティング
◆まとめ

渋谷におけるプロモーション


私たちは生きていく上で意識せずとも多くの広告を見ています。
そんな日常に溶け込むプロモーションがどれだけのお金がかけられているのか見ていきます。
今回紹介するプロモーションされている場所として渋谷をあげます。渋谷は、1週間で約145万人の来街者数があります。
つまり、渋谷で広告を出すということは多くの人に見てもらえる可能性が出てくるということです。

渋谷と言えば、この光景を思い浮かべる人も多いでしょう。この写真の中にはたくさんの広告が写っているのです。
4面モニターを使って映像の広告を出したいと思った時、どれくらい費用が掛かっているかご存じでしょうか?
仮に1日1時間辺り15秒×2回コースを選んだ場合の金額は、48万9000円となります。
しかし、大きな企業などが広告を出す際には、1日限定で出す会社は少ないでしょう。そして見るとより多額な金額が発生していることが分かります。
次に見ていくのが、アドトラックです。

アドトラックとは、アド(広告)とトラックの合成語であり、他の広告に比べて、場所、時間、最大多数の対象者へスポット単位で効率的に宣伝ができる広告です。
アドトラックの料金は1週間で平均85万円掛かります。
1日あたりにすると、約12万円となります。
さらに音響のオプションを使用する場合はプラスで10万の費用がかかります。
最近ではコンパクトなものや、イギリスのロンドンバスのような物まで大きさやカタチは様々で料金も大幅に変わってきています。
渋谷のデジタルビジョン広告に比べると安価にできることがわかります。
最後に看板を見ていきます。
私が今回調べた看板がこちらです。

この看板を持っている企業はJRであり、「ハチコーボード」と呼ばれています。
気になる金額は、14日間で1億3200万円です。これは記載料金であり、制作費や施行費は別途でかかっているそうです。
1日あたり約100万円です。

このように街には様々な広告があり、たくさんの金額が掛かっていることがわかりました。

映画におけるプロモーション活動
映画におけるプロモーションは初動が大切であり、認知されることが必要となります。そのため、映画におけるプロモーションはさまざまなことが行わられます。
今回取り上げる映画は2019年11月1日公開、佐藤勝利単独主演の「ブラック校則」のについて取り上げたいと思います。
世間にはじめて公開されたのは、7月15日に令和版「野ブタ。をプロデュース」として映画の上映日と主演と親友役の髙橋海人の決定が写真と共に公開されました。
同日には、テレビでは、日テレのスッキリなどでも情報が世間に公開されました。
メディア媒体では、モデルプレイスや映画ナタリーなどのWEB媒体でも公開されます。
7月17日に第1弾チラシの完成を発表。
そして8月2日に第2弾キャストとして、ヒロインや主要メンバーのキャストが公開。
8月23日に、場面写真が公開されて、ファンの中でも話題を生みました。
8月30日に第3弾キャストが公開
9月6日に映画の予告解禁
9月17日ポスターと主題歌がSexyZone「麒麟の子」に決定しました。令和版野ブタと呼ばれていたので、佐藤勝利と髙橋海人による主題歌ではないかや、制作が日テレとジェイ・ストームだったこともあり、所属アーティストであるKing&Princeが主題歌になる予測されていましたが当初ポニーキャニオンにレーベルを置いていたSexyZoneに決定しました。
10月4日にノベライズ本が登場しました。同時に特典ファイル付きの前売り券が販売され、朝から映画館には多くの人が並びましたが、渋谷では買えなかった人が続出しました。私自身も購入を試み、地元から少し離れたところに行き無事購入しました。
このようなスケジュール間で情報が解禁されていきました。
次にメディアへのアプローチを見ていきます。
公式サイトを参考に見ていきます。https://bla-kou.jp/media/
制作元が日テレやHuluであるのでテレビでの宣伝は主に日テレの番組で行われました。
10月5日の「ニノさんSP」を始めてとして、「嵐にしやがれ」や、「ダウンタウンDX」「1億人の大質問!?笑ってコラえて!」など主力番組、30の番組に出演をしています。さらに雑誌には50を超える掲載やWEB掲載などが行われていました。
このように映画は、多くのメディアを通じて私たち消費者に情報が届く工夫を行っているのです。

お金をかけずにみんなにPR?


前章で企業があんなにもお金を掛けて広告を行っていたのに無料で広告してもらえることなんてあるの?と思った方も居るかもしれません。実はそんなうまい話があるんです。
それはパブリシティと言います。
企業が自らお金を出して広告を出すのではなく、マスコミに情報提供をし、マスメディアを通じてなされる広報活動についてみていきたいと思います。
メリットとしては、各メディアに露出していくことで、認知度を高めることができます。さらにメディアで紹介されるので高い信頼性を得ることができます。
効率的に周知させるためには、ターゲットを絞る必要があります。
マスメディアで紹介される事によって、その情報を基にSNSなどで拡散されることで口コミを得ることができます。そのSNSからさらに他のメディアでも紹介される事で話題が話題を大きくしていくことができます。

企業側は、プレスリリースなどを行っていきます。
プレスリリースは、文章書類を配布、日時を指定して会見を行う、または個別取材に応じることなどがあげられます。
プレスは情報機関のことであり、リリースは情報提供という意味である。
アーティストだと、最新シングルのMV映像やメイキング映像などがニュースで流れることもあります。記事では、高画質の写真を提供することで企業側の世界観をそのまま伝えることができます。
パブリシティに重要なことは、タイムリーに提供できるかがポイントになります。
いかに、正確に分かりやすく情報を伝えることが必要となります。
つまりニュース価値の高さが必要と言えます。
デメリットとしては、企業が意図しないカタチで取り上げれてしまう可能性があるということです。無料であるので主導権はメディア側にあるのです。

では私たちが普段見ているパブリシティにはどんな仕組みがあるのか見ていきたいと思います。
例えば、グルメ番組や、バラエティー番組などに出てきたお店は、番組に紹介されたことで、お店の壁などに「テレビで紹介されました!」という張り紙などを見たことはありませんか?あれは、テレビで紹介されてという一種の「テレビパブリシティ」と言います。観光地などでお店を選ばないで行った時、テレビで紹介されているなら美味しいと思い、そのお店を選ぶ基準にもなりますよね。このようにテレビで流れた情報が多くの人に信頼されていることも分かります。
他にもベタな物だと、バラエティ番組にドラマや映画の出演者が出演し、宣伝する方法があります。視聴者側から見ると、ベタ過ぎてつまらないと感じる人も多いと思います。そのことに対してテレビ側も様々な工夫を行っていることが調べていくうちに分かりました。
例えば、日テレでは、朝の情報番組ZIPからお昼のヒルナンデスまで番組ジャックを行うことも見かけることもあります。これは、社会人や学生、主婦、お年寄りなど幅広い層にアピールが行えます。
さらに、番組に自ら志願して出演していくというスタイルも最近の番組では見かけるようになった。

パブリシティ権にもっともうるさかった企業としてジャニーズ事務所があります。
2018年1月以前は、画像や動画も載せることが不可能であり、舞台挨拶などでもカメラマンは、ジャニーズタレントが写らないよう撮影なども行われてきました。最近ではプレスリリースや、テレビ番組の写真も毎回3枚までなら使用しても良いことになりました。しかし、急に解禁されたことに戸惑う人も多く、いまだに使用することをためらうメディアもあるそうです。

広告の一部の手法として、「ペイド・パブリシティ」という物もあります。これは、お金を支払ってメディアにニュースにしてもらうことでメディアサイドの記事・ニュースのような感じで取り上げてもらうことも行われています。
パブリシティに見えてパブリシティではないこともあるので、記事の全てを信じることは危ないとも言えますね。

ここまでは、世の中に溢れる広告を見てきました。
次の章からは、トランスメディア化されたプロモーションについて見ていきたいと思います。

日本と世界の有名作品比較


世界の作品と日本の作品でどのような広がり方の違いがあるのか比べていきたいと思います。世界を代表する作品としては「ムーミン」日本を代表する作品はInstagramのアンケートを取ったところ多かった「ドラえもん」を取り上げていきます。
 ムーミンの始まりを見ていく。
”ムーミンは作者のトーベヤンソンが1939年、戦争が起こっている冬に書き上げた作品が始まりとなっています。タイトルは『パパをさがすムーミントロール』というもので、トーベヤンソンが初めて書いたハッピーエンドの作品です。

そして戦争が終わった1945年に第一作となる『小さなトロールと大きな洪水』が出版されました。販売場所は本屋さんではなく、駅の売店や新聞スタンドに並んでいたそうです。”(公式サイト要約)このように有名な作品であるが最初は小さなところでしか販売されていないということが分かると思う。
このようにムーミンは独自の作品として最初から成り立っていたことが分かる。
次にドラえもんを見ていく。
ドラえもんは1969年「小学四年生」の12月号に予告編ページが載せられたのが初です。そして翌年から連載がスタートしていきます。

ムーミンに対してドラえもんは1つの作品を購入してもらうのではなく、既にある媒体から始まっていたことが分かった。

次に2つの作品が世の中に知られるようになったポイント紹介していきます。
ムーミンは、1984年に第3作『たのしいムーミン一家』は、母国フィンランドと隣国スウェーデンで大きな評価を得ました。その後英訳されイギリスで出版そして、1954年に世界最大の発行部数を得ていたロンドンの夕刊紙で漫画の連載が開始、その年には他国の新聞で連載され、最大で40か国120紙で連載される程の人気を確立しました。
その後トーベは母の死をきっかけに小説第9作「ムーミン谷の十一月」を出版そして小説シリーズはラストを迎える。しかし、小説シリーズが終わったもの、ムーミンの物語は終わらず、絵本、舞台、オペラ、実写テレビ、パペットアニメ、アニメ、美術館、テーマパークと広がっていっています。

それに対し、ドラえもんが流行り始めたポイントとしては、単行本が出てからだと言われています。売れない覚悟で6巻出したところ、大人から子供まで幅引く読んでもらえたことでジワジワ人気が出て45巻で1億部以上売り上げました。その後、テレビ朝日でアニメ化されて、日本から世界へと大きくなっていきました。

結論としては、さらに漫画や小説が終わったとしても、他の媒体は終わらず続いていくという特徴がありました。

ムーミンから見たトランスメディアマーケティング
トランスメディアの第一の前提として、派生していく中心には必ず物語が存在しているということがあります。
つまり、ムーミンに置き換えると物語の始まりは小説ということになります。
小説がどのような過程を経て発展してきたかは、先ほど見てきました。
では、その後の広がりである、TVアニメ、映画、絵本、舞台、テーマパークではどのように物語中心に描かれているのか見ていきたいと思います。
私自身が忠実に物語を再現されていると感じた場所はテーマパークです。
テーマパークでは、ムーミンの物語をとても大切にしているということが感じることができます。


こちらの写真は、私が撮ってきた写真です。一見するとテーマパークに置いてあるただのオブジェだと思う方がいると思います。しかし、このオブジェは物語において重要なシーンに登場するものなのです。
この写真のバスタブは、「ムーミン谷の彗星」に出てきます。ムーミンママが避難する上で必要と感じたモノを積んだものです。現地で改めて見てみると、あの時にバラを持ってきたことや花瓶や本を持ってくるなど物語だからこそ持つようなものがたくさんあり面白かったです。

他にもこんなオブジェがあったり、パークの中に置かれたベンチには、物語に出てくる名言などが描かれている。
ムーミンバレーパークは、ムーミンの物語を五感で感じることができるトランスメディアマーケティングの場だと感じました。
この他にもムーミンバレーパークでは、自らが声をかけないと写真に応じてくれません。この理由として、ムーミンの物語では、出会いと別れを大切にしているというのがあります。周りにキャストさんはいますが、その人達は写真を撮ってくれないので周りの人との出会いというのが大切にされているのです。

ムーミンが日本の展開で失敗した事例


1960年から1970年の間に、日本でアニメが制作されました。
しかし、本国であるフィンランドでは有名ではない上、作者であるトーベヤンソンにとって満足いくような内容ではありませんでした。
そのことから、このムーミンは日本国内だけの放送だけ許可するということで放送が認めれられました。
ではトーベヤンソンはどこに不満を持っていたのか見ていきたいと思います。
端的に言うと、歪んだ世界構築がされていたことが挙げられます。
現金での買い物や、自転車に乗るなど、自然豊かなイメージではなく都会なイメージになってしまっていたそうです。さらに、スナフキンはハーモニカを演奏するに対して、初期アニメではギターを弾いていました。さらに、ムーミンママがどんな時も持っているバックをアニメでは持っていないのです。
これらは当然原作の話には登場しません。
変わった世界観はこれだけに止まらず、ムーミンの彼女であるフローレンの名前がノンノンとなったことに対して、否定的な名前となってしまったことにも作者は不満を抱いたそうです。さらに人間も登場するのです。とにかく設定がガバガバになってしまったそうです。

ブランドの確立


これまで語ってきたプロモーションというのは短期的な要素として捉えることができます。そのプロモーションによって歴史を重なつつ、新規を取り入れることができれば、ブランドとして確立することができます。
ブランドを確立することのメリットとしては、競合との差別化を図る、長期的な売上の確保、ブランドに価値を得る、幅が広くなるという効果があります。
ブランドと聞くと、グッチやルイ・ヴィトンなどの高級なものを想像することが多いと思いますが、ブランドは様々なことを言えると思います。
商品にとってのブランドとは、機能的価値と情緒的な価値と言うことができます。
何も知らない商品を買うよりも、評判がよく名の知れた会社の方が良いと考えますよね。
国民的アニメと呼ばれるものになるためには、幅広い世代から愛されなければ、続くことができません。そして、その条件を満たすためには、アニメの時間軸が現実世界とは異なるという特徴を持っています。
いくら愛されるアニメでも、時間軸で終わりが来てしまうと、長く放送がされることができないのです。
国民的アニメとなれば自ら発信をしていかなくても、先ほど説明した、パブリシティのように映像の提供や、画像や内容の提供をすることで、多くのメディア媒体で取り上げられるのです。

ブランド×アニメ


最近では、高級ブランドや、企業でアニメーションとコラボレーションすることが流行になりつつあります。例えば、マリー・アントワネットは、「ベルサイユのばら」にインスパイヤされた洋服を作ることや、ルイ・ヴィトンの二コラは、「エヴァンゲリオン」を多くの人に紹介したり、ファイナルファンタジーのキャラクターを使用するなど行っています。
コラボが流行ってきているが、トランスメディア的視点でコラボを見ていくと、作品の世界観をいかにリスペクトして作成するかで効果がかなり変わってくることが分かる。既存の世界構築されたものをコラボにより壊してしまうと、SNSでの炎上が免れない。
意識すべきものは、物語つまりトランスメディア的な考えを持って企業は取り扱うことが大切になってくる事が分かる。

新たなトランスメディアとPR

私は新たなトランスメディアマーケティングとして「YOASOBI」に注目しました。「YOASOBI」とは、コンポ―サーのAyaseとボーカルのikuraからなるユニットです。代表作として「夜に駆ける」があげられます。夜に駆けるはBillboard japan Hot 100やオリコン週間合算シングルランキングで複数週にわたって1位を獲得し、ストリーミング再生では2億回を突破しています。
この人気の秘訣は、「小説を音楽にする」という新たなたなコンセプトを打ち出したからです。

音楽は音楽として楽しむだけではなく、別の媒体を取り入れていくことで自らも、世界観に入っていけるこの感覚は今の時代に合ったものであると思いました。
さらにYOASOBIは3つの媒体に止まらず、ブルボンのCMタイアップや「たぶん」という楽曲は映画化されています。YOASOBIの人気がどこまでメディアに影響を与え続けるのか今後も注目していきたいと思います。

まとめ


トランスメディアでは、物語中心に様々な媒体で派生して広がりを見せていることが分かりました。
また、物語とはそぐわないものがもあるが、基本物語とかけ離れてしまうとファンからの指示は得ることができないこともあることが分かります。コラボレーションなどを考える際は、物語の存在を意識する大切さを学んで欲しいです。

担当者:田中拓斗

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