05.闘争と葛藤

はじめに
 物語は決して単なるハッピーエンドではありません。登場人物にはそれぞれが抱える様々な葛藤がありそれが本人たちにおける壁となっています。降りかかる災難を振り切るためあらゆる闘争を得て物語のクライマックスを迎えます。本文は物語における登場人物の持つ葛藤と闘争について記していきます。

ー目次ー                                ◆スタジオジブリ
◆スターウォーズ
◆まとめ

◇スタジオジブリ

 ジブリ作品は全25作品(映画※短編を含む)にも及ぶ作品であり様々なジャンルを持つ作品です。主にファンタジー(楽しさに重点を置いた平和系、争いをテーマとする戦闘系)とリアリティ(日常生活、実話)の二種類のジャンルに分かれています。今回はその中から代表的な作品を一つずつピックアップし主人公の持つ葛藤、作品における闘争を紹介します。

ファンタジー (平和系)

『魔女の宅急便』

葛藤
 ヒロインのキキは一人前の魔女になるためにコリコの街にやってきましたが、田舎出身のキキにとっては大都会のコリコの街は異世界でした。周囲の人々と上手くコミュニケーションが取れなかったり、生活の難しさに戸惑ったり、魔女であることへの周りからの冷やかしにあったり様々な壁に苦戦します。さらに魔法の力が突如弱くなり飛べなくなってしまい自分は魔女には向いていないのでないかと思い込んでしまいます。


闘争
 魔法の力が弱まり飛べなくなってしまったキキは友人のトンボが飛行船から宙吊り状態になっているのをテレビで目撃します。空の上で誰も救出に向かえない中、キキは自分の潜在能力を信じ、魔法の力を取り戻し、空を飛びトンボを救出します。

ファンタジー(戦闘系)

『もののけ姫』

・葛藤
 もののけ姫(サン)は自信を森に捨てた親や自然を破壊するエボシなど人間そのものに怒りと憎しみの感情を抱いていました。エボシとの戦いで負傷した際、アシタカに助けられましたが、人間への嫌悪感から逆に殺そうとします。しかしアシタカの清純な性格、優しさから動揺してしまい、憎き人間であるはずのアシタカを殺すことができず生かすことにし、アシタカに心を開くようになります。ここで人間に対する感情が変化すると思われましたが、エボシがシシ神の首を取り森を破壊したことから人間の怒りと憎しみが再燃します。アシタカという一人の人間のみは好意を抱きますが人間は許すことはできないという複雑な感情を持っています。
・闘争
 自然破壊をするエボシに対抗するため山犬と共に戦闘を繰り広げます。

リアリティ

『風立ちぬ』

・葛藤+闘争
 堀越二郎は子供の時に夢の中でカプローにと出会い飛行機の設計士になることを夢に見ます。憧れの設計士になることができた二郎でしたが戦争期に突入し、日本の軍用機の開発に携わることになります。夢をかなえられた一方で自身の思い描いたような理想と現実のギャップに葛藤しながらも飛行機の設計に奮闘します。

画像引用元 https://www.ghibli.jp/info/013344

スターウォーズ


 名前のとおり宇宙で繰り広げられる戦争をテーマとしたスペースオペラであるスターウォーズには多くの登場人物と戦争が存在します。人物それぞれには様々な葛藤があり、作品において重要性や意味を持つもの、スケールの大きいもの、小さいものなど様々な争いが描かれています。ここではスターウォーズにおける三人の人物(ルーク、ダース・ベイダー アナキン、カイロ・レン)の持つ葛藤、作品における重要度を★で表現した戦争を闘争として紹介します。

・葛藤
ルークスカイウォーカー
 (ep4~6) 育て親を帝国軍に殺されたこと、恩師のオビワンを殺されたことなど怒りと恨みの対象であったダースベイダーが自分の血の繋がった父親であることをことにショックを受けます。恨みもある敵の存在であると同時にかつては立派なジェダイであった実の父親であることという複雑な感情を持ちます。(ep7~) ジェダイ育成をしていましたが弟子のカイロレンが暗黒面に堕ちることを阻止できなかったことへの自責から自身がジェダイとして戻ることは銀河に混乱を招くのではないかという葛藤を抱えています。

https://youtu.be/ide_sE4pjvA

アナキン ダース・ベイダー
 共和国への忠誠や恩師であるクワイガンジン、オビワンのことを裏切りたくない気持ちがありましたが、母親の死、妻パドメの死を予知する夢を見てから、愛する者を失いたくない気持ちからさらなる力を求め、最終的にダース・シディアスの誘惑に屈してダークサイドに堕ちてしまいます。ダースベイダーはダースシディアスに殺されかけ苦しんでいるルークの姿、助けを求める声、実の息子であるということから師匠であるダースシディアスを迷った挙句突き落としてルークを救い出します。https://youtu.be/U1MnMA0TzGI

カイロ・レン
 強力なフォースを持つカイロ・レンであったがレイの持つフォースに圧倒され自分より強い存在であることに気付きます。実の親であるハン・ソロを殺してしまったことや心の中に微かに残る暗黒面へ堕ちたことへの後悔、フォースを操りきれないことなどの葛藤を持っています。

・闘争
【ep1】
・ナブーの戦い (ep1)★★★
トレード・フェデレーションによる惑星ナブーの侵略事件の最後の戦いです。 銀河元老院から助力を得ることを諦めたナブーのパドメ・アミダラ女王が、クワイ=ガンやジェダイの助けを借りてフェデレーションの占領軍と戦います。

・クワイ=ガン&オビワン vs ダース・モール ★★★★
ジェダイとシスによる決闘です。クワイ=ガンはダース・モールに殺されてしまいますがオビワンがダース・モールを倒します。

【ep2】
・クローン戦争 ★★★
共和国と分離主義同盟の戦いです。最高議長となったパルパティーンは、分離主義同盟の攻撃を口実に、密かに製造していたクローン兵士軍団を共和国軍として導入します。この軍団が、共和国崩壊後に帝国軍のストームトルーパーになります。

・アナキンによる虐殺 ★
暴力的部族に誘拐された母親の救出に向かうが息絶えてしまいます。復讐のためアナキンは部族全員を虐殺します。

・オビワン&アナキン vs ドゥーク伯爵 part1 ★
アナキンはこの対戦により片手を失いオビワンも負傷し殺されかけますがヨーダの助太刀により二人とも一命をとりとめます。ドゥーク伯爵はヨーダとの激戦の末逃亡します。

【ep3】
・オビワン&アナキン vs ドゥーク伯爵 part2 ★
再戦となったドゥーク伯爵との戦い。オビワンは気を失いますが以前よりパワーアップしたアナキンはドゥーク伯爵を倒すことに成功します。

・コンサルトの戦い ★★★
共和国と分離主義者がコルサントで戦い、パルパティーン率いる共和国が勝ちます。これにより長年のクローン戦争が終結しパルパティーンは銀河皇帝となり銀河帝国が誕生します。そしてジェダイ抹殺指令によりオビワンとヨーダ以外の全てのジェダイが抹殺されます。

・オビワン vs アナキン ★★★★★★
ダークサイドに落ちたアナキンとオビワンによる師弟対決です。死闘の末アナキンはオビワンに敗れ瀕死の重傷を負います。その後パルパティーンによって半分機械の身体を与えられダースベイダーが誕生します。

【ep4】
・ヤヴィンの戦い ★★★
銀河内戦の主要な戦いのひとつです。銀河帝国の巨大兵器、デス・スターの設計図を手に入れた反乱同盟は、このバトル・ステーションの弱点を分析し、破壊に成功しました。これは反乱同盟にとって最初の大勝利でした。また、この戦いをきっかけにルークやハンソロが反乱軍のために活動するようになりました。しかしこの対戦でオビワンはダースベイダーと対戦しオビワンは死去します。

【ep5】
・ホスの戦い ★★★
銀河内戦における歴史的戦闘です。銀河帝国が大勝利を収め、反乱軍の秘密拠点であるエコー基地が破壊されます。

・ダースベイダー vs ルーク ★★
ヨーダの下で修行を積んだルークだがダースベイダーとの戦いに負け片手を失います。ここでダースベイダーが自身の本当の父親であることを知らされます。

【ep6】
・エンドアの戦い ★★★
銀河帝国と共和国再建のための同盟が繰り広げた銀河内戦の大決戦。反乱軍は第二デス・スターの破壊に成功しました。勝利した反乱同盟は新共和国へと再編成されることになりました。

・ダースベイダー vs ルーク ★★★★★★
フォースを極め一人前のジェダイとなったルークはダースベイダーとの最終決戦で勝利します。しかし自らは殺さずルークとの戦いに敗れたダースベイダーは衰弱し静かに息を引き取ります。ダースシディアスは最後ダースベイダーに突き落とされます。

◇まとめ


 登場人物の持つ葛藤はそれぞれであり、その葛藤と向き合いながら奮闘します。スターウォーズのような闘争をテーマとした作品においても作品の重要性をもつもの、スケールの大きい、小さい闘争から、作品にそこまで重要性を持たないが、登場人物においては意味のある、重要性を持つものまで様々です。ストーリーの中では明かされていない見えない部分も自身の見解によって、どのような葛藤と闘争があるのか考えることができると感じました。

担当者:川崎 煕

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