12.物販・タイアップ

はじめに


様々なトランスメディアが存在し、それぞれが生き延びるためには利益を出し続けていくことが必要不可欠です。利益を出し世界観を維持するために物語を更新し続けたりすることで、トランスメディアは成り立っています。そのためにそれぞれが様々な種類のサービスや商品を消費者に買ってもらうことで利益を出しているのです。その中でも物販は実際にグッズなどを販売することで利益を出すもので、それぞれのトランスメディアごとで戦略の差が分かりやすく出るものです。それらの戦略は、ファン心理を利用することで利益を増やそうとするものであり、トランスメディアごとのファン心理を考えていくことで戦略の合理性も見えてくると考えました。そこでそれぞれのファン心理を考慮しながら物販を見ていき、分野ごとでどのような特徴があるのかを見ていこうとおもいます。


ー目次ー
◆女性アイドルの物販男性アイドルの物販
◆タイアップについて
◆まとめ

アイドルファンの心理
アイドルのファンは基本的にその対象である人物に「疑似恋愛感情」をもっています。そのファン心理により、男性女性それぞれが異性のアイドルに応援することが多いのです(男性ファン→女性アイドル、女性ファン→男性アイドル)。これは前述した「疑似恋愛感情」が主な要因であると考えられます。また、そのようなファンたちとは逆に、同性のアイドルを応援するファンの心理としては「憧れ」や「癒し」などがあるようです。これは自分がこうなりたいといった理想像としてアイドルを応援することであり、髪型やメイク、服装などを真似ることでそのアイドルに近づこうとするファンも多いようなのです。実際女性アイドルを好きな女性ファンは自分の顔やスタイルと近いアイドルを好きになる傾向があり、自身の顔と比較して共通点が多い人を好きになるというのは人間の心理として一般的なものであるようです。これは完全に私の主観ではあるが実際、周りの同性アイドルを応援するファンは基本的に体格が似ていたり、顔の印象が似ていたりすることが多くあることや、その顔や体格を目指して努力している人が多いように感じました。

女性アイドルの物販

基本的に男性が主なファン層であり大半を占めていて、前述したように女性が憧れや癒しといった目的でファンになる人も少数いるようです。男性アイドルに比べると加入・卒業が定番となっており、メンバーが入れ替わるということが一般化しているので、この加入するイベント(お披露目会)や卒業するイベント(卒業ライブ)なども大きな存在感があります。

今回はここ20年でそれぞれの年代のもっともはやったであろうアイドルグループに絞ってみていこうと思います。
2000年近辺に大流行したつんく♂氏プロデュースの「モーニング娘」からその次の秋元康氏プロデュースの「AKB48」また同じく秋元氏プロデュースの「乃木坂46」「欅坂46(櫻坂46)」「日向坂46」について考えていきます。

モーニング娘。
乃木坂など坂道グループとは異なり、CDの同梱されているのは抽選でイベントに参加できる応募券となっています。直近20年の女性アイドルの物販の基礎を作ったといっても過言ではないモーニング娘。ですがCDの販売方法に関しては坂道の販売方法の原型を作っただけで直接大きな売り上げにつなげることはできなかったようです。しかしそのような商法を使わなくても曲そのものが評価され、チャートなどでもトップに出ることができたのはプロデューサーであるつんく♂氏がアイドルだけでなくその時代のJ-POPをけん引する人物だったからなのではないかと考えられます。

AKB48
CDに握手券を同梱し、好きなメンバーを指定して並びさえすればほぼ100%メンバーと触れ合えるという仕組み(抱き合わせ商法)を作りました。総選挙の応募券も同様であり、多く買えば買うほどメンバーの票を伸ばすことができるのです。自分がCDを買えば買うだけ推しメンバーの票を伸ばすことができるので、そこからファンの中では、どのくらいの量のCDを買うかで競ったりしていたようです。
乃木坂などと比較するとAKBは総選挙の投票権を主な強みとしていて、総選挙のイベント自体も大きな存在感があります。

乃木坂など坂道グループ
CDを握手券と合わせて販売する「抱き合わせ商法」をすることで、多くの枚数を売り上げています。そうすることでチャートなどのランキングにも乗ることができるので、知名度も同時に上げることができるのです。実際ファンはCD目的ではなく、同梱の握手券を目的として大量のCDを買うことがしられています。その証拠として、フリマアプリなどでほぼ無料のような値段で取引がされているのです。このことからファンはCDではなくそれに付属している握手券を手に入れるために大量のCDを買っているといえるでしょう。

参考:フリルhttps://fril.jp/
このフリマサイトでは最低出品額が300円となっているのでこれらのCDは最低出品額での出品となっており、ファンはこれらのCDに価値を感じていないと言えるでしょう。

◇男性アイドルの物販


女性アイドルに比べ、ジャニーズ一強という独占的な市場になっているように感じました。ジャニーズはその規模が大きい分、その中でも手法の差、ターゲットの年齢層にも差、男性ファンが多いグループとそうでないグループでの違いなど、それぞれ違った戦略をもって物販を展開しているようです。今回はそのジャニーズに絞ってみていこうと思います。

ジャニーズ
ジャニーズのオンラインショップは代表的なものが二つあり、一つが「Johnny’s onlineStore」。もう一つは「Johnnys island onlinestore」です。
Johnny‘s onlinestore ではジャニーズのほとんどのグループ・メンバー、それぞれの写真を購入することができ、これらのグループは比較的年齢が高いグループが多く見られます。
逆にJohnnys island onlinestoreでは若手グループやジャニーズJr.などの年齢層が低いグループ・メンバーのグッズを購入することができるようです。
ジャニーズにおけるCD販売の手法としては基本的に握手券などのイベント参加券を特典として付けるのではなく、フォトブックなどをつけているようです。このフォトブックは多くの種類があるわけではなく1種類であることが多いため、ファンは多くの枚数買う必要がないようです。

参考:フリル https://fril.jp/
このように最低出品額よりも高い値段で取引がされており、定価に近い値段での取引が多くみられます。

タイアップについて


そもそもタイアップとはどのようなものなのか説明していきます。
複数の映画やアニメ、企業などが協力し互いに宣伝しあう形で知名度を上げたり、利益を上げ全体として相乗効果を得ようとするものです。
タイアップ曲など、さまざまな形態があり、それぞれの場面に応じて最も適した形をとって企画されます。その形の一例として「タイアップ曲」が挙げられます。
具体的に最近のタイアップ曲において、最も成功した物として、鬼滅の刃主題歌のLISA「紅蓮華」があります。
タイアップ曲は、基本的に楽曲製作者側が権利を一部若しくはすべて譲ることで成立するものであり、
そのアニメ・映画・CMで流されることによる売名効果が期待できるため、多くの楽曲製作者の夢であるようです。
楽曲といった面以外でも、その製作者(アイドルなど)自身がキャラクターとして打ち出されたりすることもあり、そこでも知名度は上げられると考えられます。
先ほどの物販と同じようにファン心理を考えながらどの企業やイベントなどとタイアップを組むかが重要になってきます。
最近では先ほど出てきた「鬼滅の刃」が多くのタイアップを打ち出していて、どこに行っても鬼滅の刃コラボが目に入ります。
その中の一つの鬼滅の刃コラボの缶コーヒーは、子供が親に対してねだり、親も缶コーヒーを飲めるというメリットがあるため多くの人が購入しているようです。
このように子供と大人のニーズを掛け合わせることこそがタイアップの特徴なのではないでしょうか。

まとめ


ここまで物販・タイアップというトランスメディアが利益を出していく手段について考えてきましたが、ファン心理がこれらに大きくかかわっているということが分かりました。
それぞれがファンの心理を考察し、物販の内容を企画し販売方法を変えたり、タイアップなどの企画などにもつなげていくことで利益につなげることができると考えました。
利益を出すには当然それにお金を払う人がいるわけであり、お金を払ってもらうにはそれ相応の価値がないといけないので消費者の立場に立って考えるというのは必要不可欠なことなのです。
ただ乃木坂などのCDの売り方は決していいものではなく、それに対する批判などもあることからそのようなモラルやコンプライアンスを守るということが最重要であり、
ファンの心理を考えるだけでなく世間全体を考慮すべきであると私は考えます。

担当者:山本輪

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